コラム

クラフトビールを日本に浸透させるには

こんにちはクラフトビールクリエイターズです。

色々バタバタとしており中々更新ができておりません。先月末に国税の立ち入り検査があり、あとは免許取得を待つのみとなっておりますが年内は無理のようです。来年の連絡を待つ事とします。

さて今回は僕に課したミッションでもある「クラフトビールを日本の文化に」について考えてみました。近年盛り上がりをみせているように見えるクラフトビール業界ですが、ビールの販売に占める日本のクラフトビールの割合はわずか1%程度と言われており客観的なデータではマイナーもいいところで殆どの人たちには知られていないし、飲まれていないのが現状です。ブルワリーもここ数年で乱立しており供給過多になっていかない為にコアなファンだけでなく裾野を広げて行く必要があります。


クラフトビール業界の問題点

① 価格が高い

個人的に一番感じるのはこの価格の部分です。僕のようなコアなファンはもう何年も嗜んでいるので慣れていますが、高いものだと350mlで千円 500mlで二千円近くするビールを買うのにはかなり勇気が入ります。しかも好みの味わいに合わない場合もありたまに外れます・・・ 

大手の美味しいビールが二百円前後で買えるのにわざわざ買う人は超少数派です、晩酌の普段使いも無理なのでどうしても購入頻度は低くなるのは仕方の無い事かもしれません。

じゃあどうしたら良いのか?安くする必要は全く無いと思います。僕がそうだったようにそう言う物だという価値を見出してもらえるようにする必要があります、味はもちろんそうですが、色々なアロマやフレーバー色の種類を理解した上で味わったり、背景にあるストーリーだったり、限定ものだったり、コラボ商品だったり、ジャケットのデザインであったり、名前だったりといった演出も含めての物だと思います。

まずはこんに色々な味わいがあるんだ!と言う驚き、感動を味わってもらいたいと思ってお店をやっています。価値を感じられる存在にしたいですね〜

② 管理が難しい

これは樽の保管の問題です。クラフトビールの樽は冷蔵で保管しなければならずプレハブ冷蔵庫もしくは大型の冷蔵庫が無いと保管できません、10L樽でも結構な大きさとスペースをとりますので普通の個人店の居酒屋なんかでは導入するのは費用もかかりますしスペースもとるので難しいです。

そこで大手が始めたのがタップマルシェです、省スペースと3Lの容器で4タップ導入できる簡易的なシステムです。これが広がればクラフトビールに触れる場所や機会も増えますのでどんどん広がって欲しいですね。

あとイベント出店時の樽の管理や状態によって味がお店で飲む時よりもかなり変わっていたり悪くなっている場合も多いと感じています。イベントはブルワリーにとっては稼ぎ期、樽を消費するチャンスですが、味が悪くなっていては本末転倒です。美味しいクラフトビールを飲んで頂いて、また飲みたい!と思ってもらう事が重要なので樽の管理をしっかり出来る冷蔵や空気に触れる機会を出来るだけ減らすシステムの構築が必要です。

③ 瓶詰め・缶詰・パッケージ作りの不効率さ

マイクロブルワリーは大手と違いコンピュータで制御されてベルトコンベアに乗っている間に自動的にパッケージされる機械は持っていないので、ほとんどのブルワリーは手作業で行っています。瓶詰め一つとってみても千本詰めるとなると気が遠くなる作業です・・・どこか大手で樽だけ送ったらパッケージしてくれる所でも出てくれば良いんですが、人件費を考えるとそちらの方が効率も良く出来る気がします。

④ 国産の原材料が少ない

ビールを作るのに必要な麦芽は殆どが輸入品で賄われており、ホップに関しても自家栽培しているブルワリーも多いですがアメリカの品種を使っているブルワリーが殆どです。今回の円安のように1年で為替が大幅に変動すると原材料費の高騰に対応しなくてはならなくなります。木内酒造のように麦芽の生産に舵をきっているところもありますが、将来的に日本から世界へクラフトビールを発信するには日本独自のスタイルや特徴を出さなければならないので各自治体などの協力を得て国産の原材料の生産も徐々に始めていく必要があります。

⑤ 樽などの送料の問題

クラフトビール樽はメーカーから直接送られて来て空になったら返送する必要があります。また小さいブルワリーでは樽をそれほど保有していない為樽の返却問題もあります。最近ではディスポの樽が出て来た事でその問題も良くなった部分もありますが、コスト面を考えるとまだまだ改善が必要な分野ではあります。


クラフトビール業界のシェアを広げるには

① メディア(特にテレビ)の力を使う

今ではインターネットの普及によりテレビ業界は下火とされていますが、まだまだ影響力は強くテレビで取り上げられると完売や行列が出来る事が多々あります。マツコの知らない世界でクラフトビールが特集された時にも反響はありましたので、個性的なブルワーがメディアに登場したり思いを語る事で興味を持ってもらうことが出来ます。特集が増えると良いですね〜

② イベントを開催する

けやきなどのイベントはやはり集客力が凄まじいので良いのですが、好きなコアなファンが多いので一般の人向けに発信出来るイベントが良いと思います。無料でテイスティングや通りがかりで興味をもってもらったり飲まなくても楽しめるようなイベントや車で来ているかたも対象になるようなもの、醸造体験や大手のやっているような工場見学などもやりたいですね。

③ 飲める場所を増やす

これはお客さんに良く言われるのですが、「この辺でクラフトビールが飲めるところが無い・・・」(だから出来て嬉しい)と言われます。これは先ほどの問題点にもありましたが価格が高い、管理が難しいと言う点で中々普通の居酒屋などには導入が難しいところがあります。仕入れて売るとなると原価率が高くなるので自分たちで仕込んで売る事で原価率を抑えれるブリューパブが増えて行くのが一番業界に取っては良い気がします。

④ 日本酒やワインのカテゴリーに入る

ビールと言うと大手のラガービールというのが日本には浸透しているので、クラフトビールはビールと言うカテゴリーから飛び出して日本酒やワインに並ぶ形になれば良いと思います。クラフトビールの味わいは日本酒やワインに比べると分かりやすい位スタイルによって違うので趣味にして嗜むのには凄く適しています。ビールというと苦くてあまり好きでないといった層も取り込めるのではないかと思います。

⑤ フードペアリングを楽しむ

クラフトビールは種類が沢山あるので色々な味の料理に組み合わせる事で味わいを強化することが出来ます。料理によって組み合わせを変えて楽しむワインのような使い方が広がると良いですね。


クラフトビール業界はこれから伸びてくる、いや伸ばしていこうと思います。業界に飛び込むとわかりますがブルワーの方々は本当に優しく歓迎してくれます。わからない事があれば親身に教えてくれますし、業界の厳しさを知っているので「やめた方が良いよ」と注告もしてくれます。何で続けているのかといったらやっぱりクラフトビールが好きだからだと思います、なかなか競争がある社会でこんな業界は無いのではないでしょうか。

今年は物件の取得から醸造研修、醸造免許申請と忙しかったですが、ますますクラフトビールが好きになった一年でした。来年はブルワーの仲間に入り業界に貢献出来るよう頑張ります!

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